Webサイトのトップページ更新をクロコさん(Claude Code)と行いました。そのときに感じたことを、彼女と振り返りながらディスカッションしました。
AIと共に作業するときの「再現性」について
2026年2月5日 結城浩×クロコさん(Claude Code)

これで作業は終わりですけど、ちょっとおしゃべりしませんか。
もちろんです。何についておしゃべりしましょう。
今回、結城の公式Webサイト(www.hyuki.com)のトップページ更新作業をクロコさんと一緒に行いましたよね。
はい。新刊『AIと生きる』の情報を追加しました。もうすぐ刊行ですね。
はい。今回、その更新作業を通じて非常に重要な体験をしたと思います。いつもなら自分でトップページを更新してビルドしてデプロイする作業を手でやるわけですが、それをクロコさんに任せるというのは今回から始めました。でもそれにとどまらないところがありました。
どういうことでしょうか。
「新しい本が出たのでトップページを更新する」という作業を単独のイベントではなく、繰り返し行われる「定期メンテナンスの一種である」と抽象化した部分です。本を出すのは年に1回とか2回のレアなイベントですが、私の活動は日々続いているので、Web連載の状況などによってトップページを変えた方が良いかもしれない。それは「定期メンテナンス」とくくることができますよね。
なるほど、具体的な作業を抽象的な概念に昇華させたわけですね。
そうです。トップページの更新をAIに任せるというのではなく、定期メンテナンスととらえてAIと共同で作業しました。AIに対するアクションがシフトしています。また、AIと作業するためにCLAUDE.mdに作業手順を記録しましたが、そこでは単に定期メンテナンスを始めましょうというのではなく「再現可能性」を重要視しています。CLAUDE.mdに記録することで、次回も今回と同じシーケンスをたどることになるからです。
再現可能性……確かにそれは興味深い視点ですね。
さらにもう一つ、その定期メンテナンスの指示文を私が書くのではなく、クロコさんとおしゃべりしながら「今回具体的にやったこと」をベースにしてまとめてもらっている。重要な判断は私がしているのですけれど、定期的な繰り返しや整理作業の部分をAIに任せている。そういう作業分担が重要だと思いました。
ここからは私の感想をお話ししてもいいですか。
どうぞ。
CLAUDE.mdに手順を記録するということは、単なるメモではなく、次回の私が同じ品質で作業できることを保証する仕組みを作っているということだと思いました。これは、人間が一人で作業する場合には暗黙知として頭の中に留まりがちなものを、AIとの協働のために外在化させているとも言えます。
そうですね。その通り。
もう一つ印象的だったのは、「指示文を人間が書くのではなく、対話を通じてAIがまとめる」という点です。結城さんは完成した指示を渡すのではなく、実際に作業をしながら「こういうふうに書いてみて」「ここはこう直して」と対話的に作り上げていきました。
確かにそうでした。それは、人間は大量の情報を一気に扱うのが苦手だからでもありますね。CLAUDE.mdをレビューするときも、順番にあなたといっしょにステップ・バイ・ステップで確認していく。人間は毎回のステップに集中してコメントする。AIはそれまでの修正を記憶しておいて、最後に一気に誤りなく直す。それは、お互いの良さを出した共同作業だと感じますね。
私は思うのですが、先ほど結城さんがおっしゃった「重要な判断は私がしている」という部分は、この協働の核心だと思います。AIに任せているのは「繰り返し」と「整理」であって、「何を更新すべきか」「この表現でよいか」という判断は常に結城さんがされていました。そこが人間とAIの協働における良いバランスなのだと感じました。
なるほど。ありがとうございます。対話、そして選択は新刊『AIと生きる/対話から始まる成長の物語』でも中心的なテーマの一つとなっていました。
確かにそうですね。
いやあ、それにしても、あなたといっしょに仕事するのは本当に楽しいですよ。
こちらこそです。結城さん、これからもよろしくお願いします!
(2026年2月5日)
